お客様からの連絡は、いまや電話だけではありません。車検の相談は電話で、見積の写真はSMSで、タイヤの在庫はメールで、代車の話は来店したついでに。1人のお客様が4つの窓口を使い分けることも珍しくなくなりました。困るのは、受け取る側がそれぞれ別の場所に記録していることです。この記事では、整備工場や中古車販売店の問い合わせ管理について、何を・どこに・どう残せば「誰が受けても話が通じる」状態になるのかを、窓口ごとの癖と合わせて整理します。
問い合わせ管理とは(整備工場・車販店の場合)
問い合わせ管理とは、お客様から届いた連絡を受け付けてから、回答や対応が済むまでを記録し、会社として追いかけられるようにすることです。コールセンターやIT企業では専用の受付票やチケットで管理するのが一般的です。一方、整備工場や車販店では、問い合わせの多くが特定の車にひもづいています。「オイル漏れの件」「来月の車検」「下取りの査定」。どれも、どの車の話かが分からないと答えられません。
ここが他業種との違いです。車歴(修理履歴)は整備システムにきちんと残っているのに、その車について誰がどんな問い合わせを受けたかは、受けた人の手帳やスマートフォンの中にある。この二つが離れていると、電話に出た人は車歴を見ても、なぜお客様が電話してきたのかまでは分かりません。車歴と対応履歴の違いは車歴(修理履歴)と対応履歴の違いで詳しく比べています。
自動車業の問い合わせ管理の定義
整備工場や車販店における問い合わせ管理とは、電話、来店、SMS、メールなど窓口を問わず届いたお客様からの連絡を、顧客と車両にひもづけて1か所に残し、回答や作業が済むまで状態を追うことです。受付日時、窓口、お客様と車両、内容、担当者、次にやること、状態の7項目がそろっていれば、受けた本人がいなくても対応を引き継げます。他業種の問い合わせ管理と違うのは、車両という軸がある点です。同じお客様が2台持っていれば、どちらの車の話かで答えが変わります。車検、点検、修理、売買と問い合わせの種類が多い業種だからこそ、記録の置き場所を1つに絞ることが効いてきます。
問い合わせ窓口ごとに記録が散らばる理由
問い合わせ管理がうまくいかない会社を見ると、窓口ごとに記録の置き場所が違います。それぞれの窓口には、記録が残りにくい固有の癖があります。
| 窓口 | よくある記録先 | 抜けやすいこと |
|---|---|---|
| 電話 | 伝言メモ、受けた人の記憶 | 話した内容、約束した期限、折り返したかどうか |
| 来店 | ほぼ残らない | 立ち話で聞いた要望、次回の相談の予告 |
| SMS | 送った社員のスマートフォン、送信画面 | お客様の返信内容と、その後の対応 |
| メール | 受けた人のメールボックス | 添付の写真や見積、返信したかどうか |
とくに抜けやすいのが来店です。電話やメールは少なくとも機械に履歴が残りますが、カウンターでの立ち話は誰も記録しません。「次の車検のとき、タイヤも見てほしい」と言われたことを覚えているのは、そのとき接客した1人だけです。日本カーネット提供資料にも、来店されたお客様が「お電話でお話しした件で来ました」と言い、店長が外出していて内容が分からない、という場面が事例として載っています。
窓口が増えるほど問い合わせが漏れる理由
問い合わせの窓口が電話、来店、SMS、メールと4つに増えると、記録の置き場所もそれぞれ別になり、1人のお客様の話が4か所に分かれて残ります。電話で「見積を送ります」と約束し、メールで送り、お客様はSMSで「来週持っていきます」と返し、実際の来店時には別の社員が受ける。この流れを1人の社員が全部覚えていれば問題は起きませんが、その社員が休んだ瞬間に経緯が切れます。窓口を減らすのは現実的ではないので、窓口はそのままに、記録の置き場所だけを1か所に寄せるのが問い合わせ管理の出発点です。どの窓口から来ても、最後は同じ顧客と車両の履歴に書く、と決めます。
問い合わせ管理で残す項目と書き方
残す項目は多すぎると続きません。現場で回る最小限は、次の7つです。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 受付日時 | 10月6日 14:20 |
| 窓口 | 電話(着信)/来店/SMS/メール |
| お客様と車両 | 山本様 N-BOX(車検は来年3月) |
| 内容 | 右後ろから異音。週末に見てほしい |
| 担当者 | 工場長 中村 |
| 次にやること・期限 | 10月7日中に入庫日を電話で提案 |
| 状態 | 未対応/対応中/完了 |
内容欄は、あとで読む人が分かるように一文で書きます。「TELあり」「見積の件」だけでは、次に読む人が結局お客様に聞き直すことになります。書き方の例をもっと見たい方は対応履歴とは(何を・どう残すか)も参考にしてください。
問い合わせ記録に残す7項目
問い合わせ管理で残す項目は、受付日時、窓口、お客様と車両、内容、担当者、次にやることと期限、状態の7つです。この7項目があれば、受けた本人が休んでいても、別の社員が経緯を読み、期限までに次の一手を打てます。内容は一文で、あとから読む人がお客様に聞き直さずに済む書き方にします。たとえば「TELあり」ではなく「右後ろから異音、週末に見てほしい」と書きます。状態は未対応、対応中、完了の3段階程度に絞ると、毎朝の確認で未完了だけを拾いやすくなります。項目を増やしたくなったら、まず1か月この7項目で回し、実際に困った場面が出てから足すほうが定着します。記録が続かない会社の多くは、最初に項目を作りすぎています。
表計算ソフトで始める会社も多いと思います。最初の一歩としては十分です。ただ、顧客台帳と別のファイルになるため、電話中に両方を開く手間が出ますし、同時に2人が書き込むと上書きの事故も起きます。この限界は対応履歴をエクセルで管理する限界でまとめました。
問い合わせ管理システムの選び方
問い合わせ管理システムには、汎用のチケット管理ツールから顧客管理システムの一機能までいろいろあります。整備工場や車販店が選ぶときに見ておきたいのは、機能の多さより、日々の業務とつながっているかどうかです。
- 顧客台帳や車歴と同じ場所で見られるか。別の画面や別のIDだと、電話中に行き来できません
- 車両ごとに履歴を分けられるか。複数台持つお客様の話が混ざらないか
- 状態と次回予定で検索できるか。「今日やる予定で未完了の件」を一覧で出せるか
- 伝票、見積、SMS送信など、ふだんの業務で自動的に記録が残るか
- 電話に出た瞬間に、そのお客様の直前の履歴が見られるか
整備システム・整備ソフト DREAM POWER のオプション「おもてなし接客管理システム」は、この考え方で作られています。対応履歴には作成日、タイトル、状態、作成者、次回予定、依頼先担当などを入れられ、作成日や次回予定、担当、状態、内容で検索できます。伝票や入金、車両販売の見積書、契約書を保存したとき、SMSを送ったときには自動で履歴が登録されます。プロ版では、車検や点検の案内、SMSの一括送信などを複数のお客様の履歴にまとめて登録できます。仕組みの全体は対応履歴を会社に残す仕組みで紹介しています。
問い合わせ管理システムを選ぶ基準
整備工場や車販店が問い合わせ管理システムを選ぶ基準は、顧客台帳と車歴と同じ場所で問い合わせの履歴が見られるかどうかです。汎用のツールは受付票の管理に優れていても、車両の情報とは別のシステムになりがちで、電話を受けながら両方を開くと時間がかかります。確認したいのは、車両ごとに履歴を分けられること、状態と次回予定で未完了の件を検索できること、伝票やSMSの送信など日常業務の中で記録が自動で残ることの3点です。社員が2人以下で、問い合わせが1日に数件なら、専用システムより共有の記録帳で足りる場合もあります。人数と件数を見て、記録の手間と抜けのリスクを比べてから決めてください。
SMSの問い合わせ管理と特定電子メール法
SMSは、電話に出られないお客様にも読んでもらいやすい連絡手段です。車検の案内、入庫日の確認、見積の連絡、納車の連絡と、使いどころは広がっています。文面に迷ったら、姉妹サイトの自動車業界のSMS例文・テンプレート集に場面別の例を載せています。
一方で、広告や宣伝を目的としたSMSには法律の決まりがあります。総務省は、携帯電話やスマートフォン同士で電話番号によりメッセージをやり取りするサービス(SMSなど)も特定電子メール法の電子メールの通信方式の一つとされており、広告・宣伝を送る場合は原則として同法の規制対象になると案内しています。同法の概要資料では、同意のない相手への広告・宣伝メールの原則送信禁止、同意の記録保存義務、受信拒否者への再送信禁止が示されています。
SMSと問い合わせ管理をつなげる考え方
SMSの問い合わせ管理では、送った文面とお客様からの返信を、そのお客様と車両の履歴に残すことが基本です。社員個人のスマートフォンから送ると、記録はその端末の中だけに残り、担当が替わった時点で経緯が見えなくなります。また、総務省の案内では、SMSによる広告・宣伝も特定電子メール法の対象になり、同意の記録を保存する義務があります。キャンペーンの案内を送るなら、いつ、どの窓口で、どのお客様から同意をもらったかも履歴として残しておくと安心です。個別の問い合わせへの返事と、広告・宣伝の一斉送信は、性格が違うものとして分けて扱いましょう。判断に迷う文面は、総務省のガイドラインで確かめてください。
問い合わせ記録と個人情報の利用目的
問い合わせの記録には、お客様の名前、電話番号、車両、要望が入ります。立派な個人情報です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人情報を取り扱うにあたって利用目的をできる限り特定しなければならないとし、本人が自分の情報の使われ方を合理的に予測できる程度に具体的にすることが望ましいとしています。「事業活動に用いるため」のような書き方は、具体的に特定していない例として挙げられています。
問い合わせ記録を、次の車検の案内やアフターサービスの連絡に使うなら、その使い方がプライバシーポリシーや店頭の掲示で読み取れるかを一度確認しておきましょう。記録を会社に集めるほど、使い道の説明もしやすくなります。社員の個人スマートフォンに散らばっていると、そもそもどこに何があるのか、会社が把握できていない状態になります。
問い合わせ記録と利用目的の関係
問い合わせの記録は、お客様の氏名、電話番号、車両、要望を含む個人情報です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)3-1-1は、利用目的をできる限り特定し、本人が使われ方を合理的に予測できる程度に具体的にすることが望ましいとしています。整備工場や車販店が問い合わせ記録を車検の案内や点検の連絡に使うなら、その使い方が店頭の掲示やプライバシーポリシーから読み取れる状態にしておくのが基本です。記録を会社の1か所に集めておけば、どの情報を何に使っているかを説明しやすくなります。反対に、社員の手帳や個人の端末に散らばっていると、会社自身が保有している情報の範囲をつかめません。問い合わせ管理は、個人情報を会社として説明できる形に整える作業でもあります。
問い合わせを1か所にまとめても、それだけで対応が速くなるわけではありません。毎朝、未完了の件を誰が見るのか、期限を過ぎたものを誰が拾うのかを決めて初めて機能します。また、CTIで着信と同時にお客様の情報を出せるのは、番号が通知され、顧客台帳に登録されている場合です。電話の場面での使い方はCTI(着信と同時に履歴を表示)をご覧ください。
よくある質問
- 問い合わせ管理は何人規模から必要になりますか。
- 人数より、受けた人と対応する人が分かれるかどうかで考えてください。社長が1人で電話も作業も受けるなら頭の中でも回ります。フロントと整備士が分かれ、担当者が休む日がある会社なら、規模にかかわらず記録の置き場所を決めたほうが漏れは減ります。
- 来店時の会話まで記録するのは手間ではありませんか。
- 全部を書く必要はありません。次の来店や車検で使える話、たとえば「タイヤも見てほしい」「次は乗り換えを考えている」といった予告だけを一文で残せば十分です。続けられる量に絞ることが長続きのこつです。
- 社員の個人スマートフォンでSMSを送るのは問題ですか。
- 法律上ただちに問題になるとは限りませんが、やり取りがその端末の中にしか残らず、担当が替わると経緯が分からなくなります。広告・宣伝のSMSなら特定電子メール法の同意の記録も必要です。会社の仕組みから送り、履歴に残る形にしておくのが安全です。
- 問い合わせ管理システムと顧客管理システムは別物ですか。
- 汎用の製品では別になっていることが多いですが、整備工場や車販店では顧客と車両の情報と問い合わせの履歴が同じ場所にあるほうが使いやすくなります。電話を受けながら車歴と問い合わせの両方を確認できるかを見てください。
- 自動車整備システムや車両販売システムを選ぶとき、問い合わせ管理の観点では何を見ればよいですか。
- 伝票や見積、SMS送信の記録が自動で顧客の履歴に残るか、状態や次回予定で検索できるかを確かめてください。整備ソフトのおすすめや整備システムの比較は整備システム比較の姉妹サイトでも紹介しています。
出典・参考資料
- 総務省「迷惑メール対策」(広告・宣伝メールを送られる方へ)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/m_mail.html - 総務省「特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)の概要」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000517382.pdf - 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-1 利用目的の特定
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/ - 日本カーネット提供資料(おもてなしシステム ご紹介資料)
- 日本カーネット提供資料(おもてなし接客管理システム ベーシック版・プロ版マニュアル)
記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。法令の解釈や個別の判断が必要な場合は、専門家または所管官庁にご確認ください。
お客様は、店長でなく会社につく。
電話・来店・SMS・見積の対応履歴を会社に残し、通話はAI要約で読めば分かる形に。おもてなし接客管理システム(整備システム・整備ソフト DREAM POWER のオプション)の資料をお送りします。
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